幸せの姿

お願い 私にさわって
私を抱いて 光とともに
わかるわ 幸せの姿が
ほら見て 明日が

ミュージカル『キャッツ』のなかで、娼婦猫グリザベラが歌う「メモリー」の一節。
私がこのミュージカルを初めて観てから十年以上の間、何度も劇場に足を運んだし、CDだって溺れるほど聴いた。
しかし、代表曲でもあるこの歌に、それほどの思い入れがなかった。
子どもだった私には、新しい命をもらうただ一匹の猫として、この娼婦猫が選ばれる意味が分からなかった。よってこの歌詞の意味もよく分からなかった。
大人になってやっと少し理解できるようになったかなぁ、と。


グリザベラのこの叫びが、痛いほど心を震わす。これは誰もが願っている祈り。
「幸せの姿」を見つけた彼女は、ぼろぼろのコートを纏っているけれど、強く美しい心を持っているのだ。